1 今までのカプセル内視鏡との違いは?
過去に発表されたカプセル内視鏡は、進行方向に対して前向き(もしくは向きが変わると後向き)にレンズが付いている為に、以下の欠点があります。

1. 例えば、暗く長いトンネル内を弱いライトを頼りに前方を向きながら進む(もしくは後ずさり)とイメージしてもらうと分かり易いのですが、亀裂や水漏れなどの発見には不向きな画像取得方法となっております。

2. 加えて、前方に比べてもっと暗い側面を斜め目線で見ている状態になっています。このため、実際のカプセル内視鏡では、一番見たい側面に合わせ広角レンズを使用しております。しかし広角レンズを使うので、広角レンズ特有のゆがみが映像になっており、これをソフトウェアで補正している為に画像情報自体に無理があります。

今回発表のSayakaは、カプセル側面にレンズを配置し、回転しながら側面を接写で撮影する方式です。つまり回転する物体に横向きにしがみつき、トンネルの側面を見ながら進むようなことが出来ます。このため、側面接写における利点である、弱いライトでも明るく見える、より細かな(高解像度)撮影が出来ることになります。1mm2につき2万画素と高画素で撮影されているため、17インチのモニター上で75倍程度までの拡大映像が可能となります。
2 Sayakaの回転のしくみは?
カプセルを、外側と内側の2重構造にしております。外側部材を消化管の壁面に圧接固定し、レンズがついている内側だけを回転させることで、少ない負荷で回転が出来ます。小型の永久磁石と電磁石の組み合わせにより生じる反発力を回転に変換しております。
3 ステッピング回転とは?
モーターの中にはステッピングモーターという、モーターに対してパルス上の信号を送ることで回転させ、回転角は与えられたパルスに比例し、動作することの出来るものがあります。その回転角をステッピング角度といい、Sayakaのステッピング角度は7.5度です。ぶれ映像防止のため回転中は撮影をしておりません。ご紹介している、Sayakaのビデオでは、ストロボ撮影を行うと想定しております。
4 Sayakaの撮影枚数は?
一秒間に30枚(一般のTVと同じ動画)撮影するので、消化管全体で約87万枚(8時間の場合)となります。
5 モザイキング技術とは?
被写体がカメラに収まりきれない場合、被写体の部分をカメラの位置と向きを変えて複数撮影し、その複数の画像を重ね合わせて、被写体全体の画像として生成する技術を言います。インターネットで検索すると、数多くヒットし、多くの大学や企業から発表されている一般的な技術です。Sayakaで使用しているモザイキング技術は、 これらにNORIKAで得た消化管撮影技術を加えて研究考案されたものであり、現在、更なる開発が進んでおります。
6 保存された映像は、スクロールして見たい場所を動画で見れるのですか?
つなぎ合わせた映像は静止画であり、個々の画像に番地が付されて保存されます。同じ番地には30枚の動画映像が別に保存されており、これが動画として再生されます。
7 胃は見れないのですか?
現在発表されているカプセル内視鏡は、消化管の撮影を目的に開発されております。しかし、近い将来Sayakaのレンズはピントが可動式になることに加え、照明(LEDライト)を明るくすることで、胃も見れるようになります。当社の技術によりカプセル内視鏡の動力源となる電力は、体外から無線によって送られていることから、ピントの可動や照明を明るくすることにも十分な電力余力があります。
8 どこかですでに発表されたのですか?
2005年12月10日に信州大学工学部で開催された「平成17年度応用物理学会」において、当社社長 丸山次郎が、「カプセル内視鏡の未来」と題して発表致しました。

本リリースは、当社の技術紹介を目的としております。 本リリースに掲載されている会社名、製品名、技術名等は、各社の商標または登録商標です。